カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

ストーンズは天使じゃない by endy

2004/07/22

ども、りんご追分のセリフのところが好きなendyです。

●ベースって・・・

私は中学生の頃からエレキベースという楽器を弾いてきました。
それまではフォークギターを片手に吉田拓郎なんぞを歌っていたのですが、その吉田拓郎にバックバンドがいることを知り、ベースを弾き始めることになったのが最初だったような気がします。

今であれば、GLAYや・・・(例をあげようと思いましたが、後が続かない)などのバンドに憧れて楽器を弾き始めるのが普通なんでしょうけど、私の場合、当時バックバンドを従えている歌手もいませんでしたので、「8時だヨ!全員集合」の歌のコーナーで、後ろで伴奏するバンドを真剣に見入るのが関の山でした。

縁の下の力持ち的なイメージが自分の性格とマッチしたのか、その後も30年以上ベースを弾き続けています。
ある時は「ベースって地味だよねー」と言われ、
ある時は「ギターよりベースの方が簡単なんだよねー?」とも言われ、
しまいにゃ「ベースっていなくてもいいんでしょ?」などと言われながらもベースという楽器を愛してきました。

●ストーンズでデート

バンド仲間の連中に「自分の音楽のルーツは何か?」という質問をすると、ビートルズやローリングストーンズという答えは少なくありません。
私の世代を考えればこの答えは当然といえるもので、不思議でも何でもありません。
ところが私はこの2つのバンドを真剣に聴いた時期がないのです。

もちろん30年以上も洋楽を聴いてきましたから、知らないこともありません。
曲もメンバーも知っていますし、バンドで演奏したことも何度もあります。
しかしレコードもCDも一度も買ったことがありません。
そのせいか未だにほとんどの曲とタイトルが一致しません。

そんな私ですが、ストーンズの本物を見たことがあります。
それは1990年の初来日、東京ドームのコンサートでした。
特に見たいと思ったわけではありませんでした。
でも私には「行くしかない」という理由がありました。
当時、私が出向していた会社にとてもかわいい娘がいまして、私はこの女の子が好きだったのです。
その彼女を誘ってストーンズを見に行くことにしたのです。

当時は究極の貧乏状態こそ脱しましたが、まだまだ貧乏な時代。
そんな私が大枚はたいて東京ドームのチケットを2枚購入しました。
翌日、顔を引きつらせながら、「一緒にストンズ、見に行ぎましぇんか?」とせまったところ、恐怖で口がすべったのか、なんとか「はい」という返事をゲットすることができました。

コンサート当日、東京ドーム近くで待ち合わせ。
もちろん私は1時間前に到着。
私たちの席はアリーナを見下ろす外野席。
ドームはストーンズファンでいっぱいです。

●恋の行方

いよいよコンサートが始まりました。
が、私は隣の彼女のことが気になり、ストーンズどころではありません。
正直なところ、1曲も覚えていません。
うっすら覚えているのは、遠くの方で米粒ほどに見える人間らしきものが元気に走り回っている姿と、ドームの広さゆえに数秒遅れて聴こえる彼等が演奏するぼやけた音。
そしてその音を聴きながら、まるで新興宗教の信者のように身体を揺らす観客。
彼女も嬉しそうに身体を揺らしていました。

私はといえば、途中に出てきたバカでかい人形の風船にびっくりしたくらいで、ちっとも面白くありませんでした。
ああいうコンサートは、「ストーンズと同じ場所の空気を吸っているだけで幸せ!」という人が行くべきもんなんだと思ったもんです。

さてコンサートも終わった帰り道、さほど盛り上がりもしない世間話をした後、私たちは当然のようにそれぞれの家路につきました。
翌日、どう考えても有利な条件は何ひとつなかったはずなのに、私は勇気を出して自分の思いを告白。
その場で返事をもらうことも出来ず、爆発寸前の胸のドキドキを抑えつつ家に帰りました。

数日後、私の家の電話が鳴りました。
彼女からです。

「あ、実はアタシ・・・結婚することになりました。」

・・・言葉もありません。
翌日から私は職場の部屋で引きこもりとなり、口を閉ざしました。
二度と東京ドームへ行くこともありません。
そして、それまでも聴かなかったストーンズを、もっと聴かなくなったのは言うまでもありません。

※初来日のストーンズを見た人のコラムをみつけました。

函館音楽協会春季定期演奏会第92回函館三曲協会演奏会のリポートをアップ。

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