カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

おてもとさん by endy

2004/06/10

ども、中学時代はアイビーソックスを履いていたendyです。

●難聴?

私は中学時代からバンドをやっていまして、音楽スタジオの中やライブなどで大音響と付き合ってきたことが原因なのか、軽い難聴なのではと思うことがたびたびあります。
どうも他人と話していても、何を話しているのかわからないことが多いのです。
そのくせ仲間はずれになりたくないという思いから、ヘラヘラと笑ってその場をしのごうとしてしまいます。
そんな時、「なんで笑ってんの?」と質問されると、「みんなが笑ってるから」とつい応えてしまいます。

以前、コンピューター会社で働いていた時、出向先に置いてある大きなプリンタの紙が詰まって動かなくなってしまいました。
私はその業界に入ったばかりでコンピューターの「コ」の字も危うい状態でしたので、ボーっとそれを見ていますと、リーダー格の人が私に向かって「ゾウキン持って来て!」と叫びました。
私はやっと自分でも役に立てる機会がきたと、急いでゾウキンを持って来ました。
「はい!ぞうきんです!」
彼は一瞬言葉を失い、絶望した顔でつぶやきました。
「どうやってプリンタに詰まった紙をぞうきんで取るの?俺が言ったのはジョーギ!」
コンピューターの奥の深さを知ったのはこのときからでした。

●恐怖のコメイタチ

友達と映画の話をしていたときのことです。
「○○っていう映画見たことある?」と私。
「あーあのコメイタチの映画ね。」と友人。
コ、コメイタチ?
それはどんな生き物なんだ?カマイタチの親戚か?
きっとその映画は動物パニック映画だ!いやそれとも怨霊渦巻く妖怪モノか?
いずれにしろ恐怖映画に違いない。

恐る恐る友人に聞き返しました。
「その『コメイタチ』っていうのはどういうヤツ?」
彼は一瞬言葉を失い、絶望した顔でつぶやきました。
「コメイタチィ?なんじゃそら!俺が言ったのは『コメディータッチ』!」
私の頭の中で恐い顔で飛び回っていたコメイタチは、突然満面の笑みを浮かべ、ピンクのタキシードで遊園地の中をクルクル踊りだしました。

●出前を頼む

さてそんな聞き間違いの多い私も驚くほどの勘違いをした、友人のお婆ちゃんの話を紹介しましょう。
彼の家は函館山のふもとにある、古い日本家屋。
彼はいつもカーキ色のジャケットを着ており、風呂は入っても1週間以上洗髪しないという風貌からは想像もできませんが、実はお坊ちゃまで高校の美術部の部長でした。
そんな彼が私にこんな話をしてくれました。

ある日、彼の家で「夕食は出前を頼もうか」ということになったそうです。
ところが近所の蕎麦屋さんの電話番号がわかりません。
電話帳を見ても店の名前がわからず、以前にメモした紙も見当たりませんでした。
もう出前はあきらめようかとみんなが思い始めた頃、今まで黙ってその光景を眺めていたお婆ちゃんが口を開きました。
「アタシが電話してあげるよ。前に出前を頼んだときの割り箸の袋に書いてあるから。」
家族全員、お婆ちゃんの言葉を聞き「オー・・・」と顔を見合わせました。
それを知ってか知らずか、お婆ちゃんは黒い受話器を取りゆっくりダイヤルを回しました。
受話器の向こうで呼び出し音が鳴り、蕎麦屋さんが出たようです。
ちょっと耳が遠くなったお婆ちゃんが、割り箸の袋を見つめながら上品に話し始めました。

「もしもし、もしもし、おてもとさんですか?」

ば、ばーちゃん、『おてもと』は店の名前じゃないから・・・

函館音楽協会春季定期演奏会第92回函館三曲協会演奏会のリポートをアップ。

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