カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

幸福の木 by endy

2004/05/06

ども、オレオレ、です。

●魔除け?

皆さんは「幸福の木」という観葉植物をご存知でしょうか?
美術館や喫茶店、空港などに置いてあることも多いので、おそらく見たことぐらいはあることと思いますし、ひょっとしたら、部屋の隅で育てている人もいるかもしれませんね。

「幸福の木」というのは正式名称ではなく、正しくは「ドラセナ・フレグランス・マッサンゲアナ」といいます。
ハワイの代表的樹木で、その繁殖力の強さと丈夫さから魔除けとして家の前に置いておくと良いことがあるという言い伝えから「幸福の木」と呼ばれるようになったそうです。
学名に「フレグランス」という言葉が入っているのは、花の香りがよいとされているからだそうですが、私は花の香りどころか、その花すら見た記憶がありません。

私が幸福の木を初めて見たのは、埼玉での一人暮らしにも慣れ始めた19の頃でした。
それは函館空港のお土産売り場で、小さなビニール袋に入って「幸福の木」として売られていたのです。
袋の中には、直径3cm、長さ10cm程度の円柱状、言い換えれば小さな丸太が入っていました。

北海道から都会に出てまだ間もない、素直で夢を抱いた少年に「幸福の木」というネーミングはそれを買わずにはいられない衝動を与えました。
頭の中では、自分の部屋で彼女を前にして、大きくなった木が「幸福の木」であることをちょっとはにかみながら説明している自分が、彼女から尊敬の眼差しで見つめられていました。

●「幸福」を育てる

購入した「幸福の木」は一人暮らしをしている自分の部屋にやってきました。
袋に書かれてある育て方の説明にはこう書いてありました。
『切り口についている蝋(ろう)を削り取り、皿に水を入れ立てておくと、数週間後に新しい葉がはえてきます』

早速、灰皿に水を入れ、蝋を削り取った「幸福の木」を立てておきました。
当時まだ「幸福の木」という名前を説明しなければならない彼女はおりませんでしたが、「貧乏学生の部屋に観葉植物」というイメージも、私の「幸福」を育てることを楽しみにするのに十分でした。

さて、来る日も来る日も水を取り替えてはじっと私の「幸福」を見つめてみるのですが、一向に新しい葉が生えてくる気配がありません。
こういう形で観葉植物を育てるのは初めてでしたから、こんなものなのかなと思いつつ、毎日毎日水だけは取り替え続けました。

●俺の「幸福」が・・・

そのうち、変化を見せない私の「幸福」に私の興味も薄れてきました。
それでも灰皿の水が乾いたら、水をあげることだけは忘れませんでした。
しかし、数週間が過ぎ、1ヶ月、2ヶ月と時は過ぎても、私の「幸福」は何の変化も見せません。

とうとう痺れを切らした私は、久しぶりに私の「幸福」を手にとってみました。
私の指でつままれた私の「幸福」は想像していたよりもずっと軽いものでした。
「あれ、こんなに軽かったっけ?」
そう思い、指にちょっと力を入れてみると、
「あれ、フワフワしてる・・・?」
も、もしかして・・・?
そうです。私の「幸福」は知らないうちに腐っていたのです、(T_T)
「あー!俺の幸せが腐ってるぅううううー!」

それ以来、私の「幸福」は腐ってしまったようで・・・

4/25の美音和会演奏会の記事が函館新聞に掲載。

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