カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

打たれて結構・・・ by endy

2004/03/25

ども、ケータイデビューしたendyです。

●巨人の星

おそらく私の人生の中で再放送を含め、一番よく見たアニメというと、「巨人の星」になると思います。
放送自体は1968年から1971年までの182話。
当時、ちょうど今の私と同じ年の父と、毎週土曜日の7時の放送を楽しみにしていました。

私のように何度も再放送を見ていなくても、ほとんどの人が一度はご覧になったのではないでしょうか。
放送された頃には影も形もなかった若い人でも、知らず知らずに主題歌や挿入曲を耳にしたことがあるはずです。

もう何度も見て、思い出に残るシーンもたくさんあるのですが、その中でとても好きなセリフがあります。
自分の人生の中でも、とても意味の深い言葉として記憶に残っているセリフです。

●禅の発想

「巨人の星」というと魔球が有名ですが、その最初の魔球は「大リーグボール1号」といい、打者の構えたバットにボールを当てて、内野ゴロやフライにしてアウトにするというものでした。
主人公の飛雄馬(ひゅうま)は、その魔球を編み出すヒントを禅寺で座禅をしているときのこんなやりとりでつかみました。

飛雄馬はどうしても姿勢が安定せず、何度も僧侶に捧でぶたれます。
それを見ていた住職は飛雄馬にこう言いました。
「そこの若いの。よく打たれるのう」
しかし、打たれまいとするほどに、姿勢が崩れて僧侶に捧で肩を打たれてしまうのです。

すると住職は言います。
「打たれまい、打たれまいとするから余計に打たれる。そうではなく、打たれて結構、いや、もう一歩進んで打ってもらおう。そのように坐れば、おのずと姿勢が整い打たれなくなるもの。」

これを聞いた飛雄馬は、「お約束」の炎が目の中でメラメラと燃え出し、魔球を生むための特訓にでかけます。
そしてこれがきっかけで、飛雄馬は大リーグボール1号を生み出したのです。

打たれまいとして、変化球や速球を投げるのではなく、まるで打ってくださいと言わんばかりに、自分のボールを強制的に相手のバットに当ててしまう。
この禅的な逆発想が、あの魔球を生んだのです。

●私の人生

小学生ながら、「なんとこのお坊さんはうまいことを言うもんだ。」と感心したものです。

このセリフを元にいろいろなシチュエーションで言葉を入れ替えてみました。

「クビになるまい、クビになるまいと思うから余計クビになりそうになる。クビで結構、いや、もう一歩進んでやめてしまおう。」
そんなことを考えてたもんですから、随分転職いたしました。

「もてたい、もてたいと思うから余計にもてない。もてなくて結構、いやもう一歩進んで嫌われてしまおう。」
結果は話すまでもないほど悲惨です。

「貧乏はいやだ、貧乏はいやだと思うから余計金がなくなる。貧乏で結構、いやもう一歩進んで持っている金を全部使ってしまおう。」
元来ケチな性格なのか、これは実行できませんでした。

こうして私の人生に鮮やかな彩りを与えてくれるはずだったこの「禅」の言葉は、今の私になんとかクビにならずに済み、この歳で所帯を持ち、メガネを新調できる程度のお金を与えてくれました。
あなたの人生に、この「禅」の言葉は、何かしらひらめきを与えてくれるでしょうか?

3/3、おひな祭りコンサートをやってきました。

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