カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

ブラジルに来なさい by endy

2005/04/21

ども、Xファイルを見ると寝てしまうendyです。

●不思議な店

私が30歳を過ぎた頃の話です。
東京から函館に戻ってきて、仕事もみつかって生活も安定してきたこともあって、毎晩飲みに出かけておりました。
いつも同じ店だったのですが、その店は一風変わった人が集まる店で、音楽好きな人もよく来る店でした。
そこではライブが出来ましたので、私もなりふり構わず演奏しておりました。
今でも当時そのお店に通っていた人と会うと、同窓会のような雰囲気さえしてしまう不思議な店でした。

●しょう油顔のエリー

その店にはよく外国の人も来ます。
ある日ブラジルからの留学生がやってきました。
名前はエリーといいます。
ブラジル、女性、エリーと聞いて、リオのカーニバルで踊っているような、省エネビキニを着ている女性を想像してしまいますが、残念ながら彼女は日系ブラジル人。
顔はまったく日本人、いやちょっとインディオの雰囲気もするしょう油顔。
スレンダーといえば聞こえはいいですがボディも薄めで、正直なところ、フェロモンは出ておりませんでした。

●オカネナクテモ、タノシーヨ踊らな損やでぇー!

顔はしょう油ですが、性格は明るいラテン系でとてもいい娘。
何かあると相談に乗ったり、私のライブを聴きに来てもらったりと、仲良くしておりました。
そんな彼女の帰国が近くなった日のこと。
その日もいつもの店でライブをやって盛り上がり、酒を飲んでおりました。
そこへBGMをバックにサンバのステップを踏みながら、上機嫌の彼女がやってきて、私に言います。

「エンドサーン、エンドサーン、ブラジルキナサーイ!」
「えー、だってお金ないし、向こうで仕事もないでしょ?」
「ブラジル、シゴトナイネー、ミンナ、オカネモナイヨー」
彼女はそう言いながら、でもニコニコと私に説得を続けます。

「デモ、ブラジルノヒト、ミンナ、タノシーネー。マイバンマイバン、ウタッテオドッテ、タノシータノシーヨー!ダカラ、エンドサーンモキナサーイ!」
「そっかな・・・」

●函館に来なさい

きっとブラジルの田舎の方に行くと、ホントに昭和初期のような生活をしている人達がたくさんいたんでしょう。
彼女の話を聞くと、「電気もやっと」という家がたくさんあるという話をしてましたから。
でもそれでも自分の気に入った人がいたら「ブラジルに来なさい」と言える。
それほど素敵な国なんでしょう。

さて自分を振り返って、同じことを言えるのか?
日本ということでなくても、ここ「函館」という街に「来なさい」などと言えるだろうか?
「仕事もないし、お金もないけど」・・・ここまでは同じ。
でも「みんな歌って踊って楽しいの。だから来なさい」なんて言えるだろうか。
ちなみに私、夏のイカ踊りとか踊ったことありません。
結局、ブラジルに行くことはありませんでしたが「人の幸せって本当は何なのか」なんてことを考えてしまいました。
ポン酢しょう油じゃないな・・・。

出前コンサートのリポートをアップしました。

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