ども、出会いは金なり、endyです。
●ベース、買いませんか?
私はベースという楽器を30年も弾いてきたこともあって、ベースという楽器を何本か所有しております。
どれも手に入れるときは様々な思いがあり高価なものであったはずなのに、意外と頻繁に使うものは限られていたりします。
購入後、数回しか使用していないベースもあります。
それは幼馴染みの友人の結婚式で演奏するときのために購入したもので、シースルーの赤がとてもキレイで派手なベースです。
結婚式で使用したあとは、数年前に数回ライブで使っただけで、ほとんど触ることもありませんでした。
使われない楽器が不憫だと思った私は、誰かに売ることを考えました。
ヤフオク等のネットオークションも考えましたが、手続きの面倒さを考えると、知人の地元の楽器屋さんに預けるほうが気が楽です。
●出会いはBBS
そう思って、そのお店のホームページを見ていましたら、BBS(掲示板)に
「ベースが弾きたいです。ベースを安く譲ってくれる方いませんか?」
という書き込みを見つけました。
一体「安く」とはどのくらいなんだろうと思い、問い合わせてみることにしました。
「ご予算はいくらくらいですか?」
そう本文に書いて、メールアドレスを確認したところ、そのアドレスにびっくり。
ロリータ・パンク・ロック。
もちろんカタカナではありませんが、アドレスのユーザー名は確かに上記のとおり。
文面からするとお金のない女性のような感じです。
ロリータ・パンク・ロック・・・一体こんなアドレスを使う人とはどんな人なんでしょう?
少女趣味の白いブラウスに赤いスカートに身を包みながら、鼻ピー、へそピーは当たり前、頭は金髪で総立ち刈り上げ、手首には鉄の鋲が鈍く光り、腰には鎖がジャラジャラと・・・。
想像するだけで会うのが恐くなります。
●お金ありません
さて私の返事が届いたらしく、ロリパンからも返事が返ってきました。
私の期待するイメージとはほど遠い丁寧な言葉遣いで、こう書かれてありました。
「まだ学生なので本当にお金がありません。予算は1万円以下です。」
うーん・・・1万円以下か・・・。
別に高く売りつけるつもりはありませんが、10年ほど前に購入したとはいえ、当時20万近くしたものを、数千円で譲ってしまうんだったら自分で買うかなどと意味のないことを考えてしまいそうです。
せめて3万円くらいではどうか?と再度問い合わせてみましたが、やはりそれでは手が出ないとのこと。
えーい!仕方がないと、さすがにタダで譲ろうとは思いませんでしたが、次の購入希望者が現れるまで貸してあげるということにしました。
もちろんお金がたまったら自分で購入してもよいことにします。
●お父さん、いくつ?
「貸してあげる」ということで、先方は「信じられない!」という返事。
そして数日後、いよいよ楽器の引渡しをすることに。
この時点で、私の中ではまだ彼女の名前は「ロリパン」。
本名はわかりません。
一応会うときには、身分を証明できるものを持ってきてくださいと言ってあります。
会う場所は、きっかけになった楽器屋さん。
約束の時間を少し過ぎた頃、ワンピースを着た小さくて痩せた女の子がやってきます。
私の顔を見て「あの、ベースの・・・」と彼女が言い終わるか終わらないうちに、
「はい、そうです!はじめまして。」
私の中のロリパンは、金髪をまっすぐな黒髪に染め直し、鼻ピーなどないスッピン顔、鉄の鋲が付いているはずの手には代わりにキュートなハンドバッグがぶらさがっていました。多少ロリの部分は合っていたかもしれませんが、あとは全くハズレで、見た目はバンドをやるなんてことも想像できない普通のお嬢チャンでした。
身分を証明するものとして彼女が見せてくれたのは、学生証。
女子高の2年生か・・・。
「お父さんも昔バンドをやっていたんですヨ。」
「お父さん、いくつ?」
「40くらいかな・・・」
ちきしょー、父さん、年下じゃねーか・・・ったくよ。
「えー、おいくつなんですか?」
「うーん・・・いくつに見える?」
スナックのねーちゃん相手にしてんじゃねーんだから、素直に言え。
「えー、わかーんない。」
「えとね・・・お父さんよりちょっと上・・・。」
「えー、ホントですかー?だってTシャツだって、メガネだってお洒落なのにぃー!」
あ、俺ってお洒落なの?そうかぁ、女子高生はオイラみたいのをお洒落っていうんだ。
「あ、そう・・・ベース持っていっていいよ。うん。」
かくして私のベースは彼女の家に行き、私はといえば彼女のバンドデビューを見る日を楽しみに待っている毎日です。
※9月のスケジュールをアップしました。今年も秋韻コンサートがやってきます。
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