カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

出会いを待つ人 by endy

2004/08/26

ども、かた焼きそば大好きのendyです。

●俺の名前で

15年程前になりますが、私がまだ東京日本橋の会社に出向していた頃のことです。
私は当時まだ貧乏な独身サラリーマンでした。(今はただの貧乏サラリーマンです)
ある時、一緒に働いていた同僚が1枚のハガキをヒラヒラさせながらやってきました。
「へへぇー、申し込んじゃったぁ!」
まるで悪魔の心が宿った子供のような顔をして近づいてきた彼は、そのヒラヒラさせていたハガキを私の目の前に差し出しました。
そこには幸せそうな男女の写真とともにこんなコピーが書かれていました。
「出会いを待つ人が、○○○にいます!」
よく読んでみると、どうやら会員制の結婚相談所みたいなもののようでした。
結婚相談所といっても、近所の世話好きなおばちゃんやおじちゃんがやってるような規模ではなく、全国規模で会員のデータをコンピューターで管理するというおおがかりな組織です。

驚くことにそのハガキには私の名前が書かれてありました。
「お、お前、それ俺の名前で申し込んだのか!」
「そうだぴょ〜ん!」
「ぴ、ぴょ〜んって・・・なんてぇことを・・・」
「いいじゃん。面白いから行ってみなよ。ここのすぐそばだよ。」
言われてそのハガキを読んでみると、確かにそこの事務所は私が出向していた会社から歩いて2,3分のところにありました。
「いい歳なんだからさ、彼女くらい作んないとダメじゃないのー?」
何の根拠もないその提案に一言も反論できず、仕方なく出会いが待っているという事務所に行ってみることにしました。

●出会いの条件

会社から程近いビルの3階にある事務所のドアを開けると、すっきりとしたロビーがあり、そこには喫茶店のようにテーブルと椅子がいくつも並べられていました。
受付の女性に「あの申し込んでいたモノですが・・・」といいハガキを渡すと、
「お待ちしておりました。こちらの席へどうぞ。」と喫茶店風の席に案内されました。

しばらくすると、先ほどの受付嬢よりもしっかりしていそうな笑顔満面の女性がやってきました。
彼女はこの組織がいかがわしいものではく、ここが男女双方の希望する相手を見つけるための出会いのきっかけを作る場所であることを笑顔100%で説明しました。
その説明が終わると、一冊の書類をテーブルに置き、こういいました。
「まずはお客様の条件等をコンピューターにインプットしてお客様と条件の合う女性がいるか調べますので、こちらの用紙にご記入いただけますでしょうか?」
そう言って渡された用紙にはいくつもの質問が書かれてありました。

生年月日、身長、体重は言うに及ばず、勤務先の業種、年収、家族構成・・・etc。
そして質問は「希望の女性」という項目に入ります。
そこには希望する女性の外見的条件を書くようになっています。
「希望する年齢は何歳から何歳まで」「体重は?」「身長は?」といった具合です。
「髪の長さは長いのと短いのどっち?」みたいな質問もありました。
男の側からすると「髪の長さ」というのは希望の女性の条件に入るもんなんでしょう。
「仕事をしていてもよいのか」「年収は?」「長女、次女?」、さらに「バツイチバツニバツサンどこまで気にならないのか?」「その際、子供がいても可か?」などという質問まで。
当時まだ20代後半で「女性の魅力は年齢やみかけではない。過去に結婚していようが、子供がいることなど関係ない。本人がいいヒトあればよいのだ。」と豪語しておりましたので、質問にもその通り答えておきました。

●二股、三股は当たり前?

しばらくするとコンピューターに私の情報が入力され、その結果をあの女性が笑顔120%で持ってきました。
彼女は席につくなり、私にこう言いました。
「お客様!お客様は素晴らしいです!」
なんのことだかわからずポカンとしていると、彼女はこう続けました。
「お客様のような条件なら、すぐにでも素敵な女性をご紹介することができますヨ!」

そういって、彼女はこの「出会いの場」のシステムの紹介を始めました。
毎月数万円の会費で、24ヶ月間、毎週5人の女性を紹介してくれるというのです。
その女性とコンタクトを取るには、そこの組織の事務局を通さなければいけません。
私が希望した女性が事務局に「会ってもいい」という返事をした時、初めて二人は運命の出会いを果たすことになります。
しかし会った女性とうまく行くかどうかなんてのはすぐにはわかりません。
それに入会してすぐいい人が現れても、2年間会費を払い続けなければいけません。
とすれば、次に会う人はもっと素敵な人かもしれないと思っても無理はありません。
当然、そこのシステムでも、私が「もういいです」と言わない限り、次から次へと新しい女性が紹介されます。
もちろん結果がうまくいこうがいくまいが関係ありません。
つまり二股だろうが三股だろうが、何股かけてもお好きなようにという解釈もありな訳で、これは「出会いの場」に恵まれていない人のみならず、こんな状況を望んでいる人はたくさんいるのではないでしょうか?

会費といっても週に払うお金に換算すれば、2,3回飲みに行く程度です。
べらぼうに高いとも思えません。
これはなかなか良心的だし、ほんとに彼女が出来るかもしれない・・・。
そんな考えが頭をよぎりました。
でもすぐ我に帰りました。
そうです、私は週2,3回飲みに行くどころか、おごってやると言われてもお店までたどり着く交通費がないことを・・・。

9月のスケジュールをアップしました。今年も秋韻コンサートがやってきます。

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