カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

0h!BB.KING by endy

2005/03/24

ども、いつか猫を飼いたいと思っているendyです。

●キング・オブ・ザ・ブルース

アメリカを発祥とする音楽に「ブルース」と呼ばれるジャンルがある。
元々はアフリカから連れてこられた黒人奴隷たちが生み出したものと言われているが、おそらくその中でも最も有名な人はBB.キングだと思う。
キング・オブ・ザ・ブルースと呼ばれているこの人は、世界にブルースの存在を広めた黒人ブルースギタリストでありシンガーである。
私はそれほどブルース界に明るくないけれど、それでも何度も耳にしているし、好きなミュージシャンの一人である。
一度だけ行ったことがあるニューヨークで、私はBB.キングの演奏を聴く機会があった。

●本家ブルーノート

最近、日本の各地にできた「ブルーノート」という本格派のライブハウスがある。
NYにはその本家となるブルーノートがある。
せっかく本場NYに来たので、是非その本場の雰囲気を味わいたいということで、私たちはその本家に向かった。
その日のライブはBBキング。
全く知らないミュージシャンではなく、あのBBであれば絶対楽しめるに違いないと確信した。

私たちの中にミュージシャン事情にとても詳しい人がいて、彼曰く、
「最近のBBは体調を悪くしたらしく、ひどく痩せてしまったらしい。」
とのことだった。
BBと言えば、太った身体に派手なジャケット、ルシールと名付けられたギターを抱え、時折そのギターを叩くような仕草を思い出す。
一体、現在の彼はどんな感じなのだろう。

●みんな田舎者

店の中はお客さんでごった返しており、背の低い私は長身のニューヨーカー達に埋もれながらドリンクカウンターでジントニックをオーダーした。
まだショーが始まるまでに時間があったので、店内を見て回ることにしたのだが、さすが有名な店、二階には観光客用のお土産コーナーもあるらしい。
早速我々もそのお土産コーナーに足を運んだ。

音楽友達がとても多いので、ここのお土産をということで、やれTシャツだキーホルダーだと買い込んだ。
後から考えると、実際に着るのはちょっと恥ずかしいというTシャツまで買い込んだ。
周りには、日本人ではないがおそらくこいつらも田舎から出てきたんだろうと思われるアメリカ人とおぼしき人がたくさんいた。
考えてみれば、函館から東京のライブハウスに行くようなものなのだ。

●NYへようこそ!

そんな時、私はある人物に目がいった。
そこにはちょっと痩せてしまったが、あの表情は彼に違いないと思わせるあの人がいた。
「BBだ!」
私は声にならない驚きの叫びをあげた。
まさかこんな身近に「BB」と会うことができるなんて!
さすが本家ブルーノートなのだ。

驚きの表情が元に戻らない私に「BB」も気がついたようで、彼は私に満面の笑みを浮かべ、手を広げた。
私は吸い込まれるように彼の腕の中に抱かれた。
予想していたよりもちょっと痩せてはいたが、いろいろ彼にもあったのだろう。
「あーオレは今BBの腕の中にいるんだ。NYに来てよかったよぉ。」
「BB」は私に向かって何やら話しかけているが、私にはその意味を理解することなどできなかった。
いやもとより英語が苦手の私には理解することは不可能だったのだけれど、きっと「BB」はこう言ったに違いない。
「お前はジャパニーズだな。NYへようこそ!今晩は本物のブルースを腹いっぱい楽しんでくれ!」

●BB、歌う!

いよいよショーの時間が近づいた。
BBのバックバンドがステージにスタンバイを始めた。
そしていよいよショーが始まるべく、最初の曲のイントロの音が鳴った。
このイントロにのって、さっき会った「BB」がステージに上がってくるのだ。
きっと[BB」はステージ上から私を見つけ、ウィンクなんぞをしてくれるに違いないのだ。
何しろ私と「BB」は熱い抱擁を交わしたのだから。

派手なイントロが鳴る中、客席はやんややんやの大盛り上がり。
そんな中、大きなバラの花束を抱え、派手なジャケットを着てギターを持った太った男がステージに上がってきた。
いつになったら私を抱きしめてくれたあの「BB」はステージにあがるのかと首を伸ばした。
すると先ほどのバラの花束の太ったおじさんが、マイクの前で歌い始めた。
その声は、私が記憶しているあの「BB.キング」そのものだった。

出前コンサートのリポートをアップしました。

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