カナコラム  (更新 月曜:かなこ、木曜:endy )

秋の草 by かなこ

2005/09/26

今日は彼岸明け。
秋もいよいよ深まりゆく・・・といったところですかね。
筝の曲に「秋の草」という曲があります。

『葉末に露の清らかに きらめきて 
朝日に映ゆる野路の糸萩 
こぼるる花片(はなびら) こぼるる露に 
手折りも兼ねて 佇む少女(おとめ)
そよ風吹きて 静けき蟲の音に
芒(すすき)の中の一(ひと)もと 女郎花
入りゆく夕日を 見送り立てば
芒の穂波 声なくゆらぐ』
【葛原しげる作歌 宮城道雄作曲】

筝のトレモロで始まる三拍子の曲。
筝のトレモロは「鈴虫」を表現しているのでしょうか。
「葉末の露」がこぼれる音なのでしょうか・・・。
筝は高低2部と十七弦の合奏曲で、歌も高低2部合唱の曲なんです。
穏やかで優しげな風情のある曲だと思います。

私が小さい頃、母は忙しい日々でしたから、マンツーマンでのお稽古は殆どしてもらえませんでした。
演奏会があれば必ず一緒に行くことに決まっている私でしたので、どうせ行くなら出演したい訳です。
着物を着せてもらって華やかな空気を味わいたい私は、見よう見まねで独習するんです。
当時は譜面を見ないで覚えたものでした。
合格?すると演奏会に出してもらえるんです。

そんな思い出のある曲の中の一曲が「秋の草」。
母のお弟子さん達に混じって弾けたことが楽しかったんです。
確か「秋の草」は、合唱団の方との合奏によるステージだったように記憶しています。
子供心に「ワクワク!」でした。
今 この歌詞を読むと、秋にピッタリの「トレモロの音」が聴こえてきます。

母はよく「目で弾かないように」と言います。
譜面に頼りすぎるという意味なのでしょう。
盲目の宮城道雄先生が、「音」という世界に生きて筝の音楽を表してくださったんですものね。
歌の節、筝の手、メロディーを演奏するということばかりでなく、その奥にある心・情景を思いながら演奏しなければ・・・と思います。

昨日 ふと この曲のメロディーが浮かびました。
秋なんですね!

秋韻コンサートVol.14のリポートをアップしました。

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